menu

納豆と免疫
納豆菌で免疫機能が向上する

解明されつつある納豆菌による
免疫細胞活性のメカニズム

妊娠中に納豆を毎日食べていた母親から生まれた子どもは納豆を食べない母親の子どもと比べて、約3.5倍もアトピー性皮膚炎になりにくいことが調査からわかりました。また日常的に納豆を食べている子どもは0-157に感染しにくい傾向があるというデータもあります。このように納豆が免疫力をアップさせることは、経験から知られているだけでなく、調査結果にも表れています。ただ、これまでは何がどう作用しているのかがはっきりしていませんでした。

しかし、最新の研究でそのメカニズムが一つずつ解明されつつあります。たとえば動物試験により、納豆菌が腸の上皮細胞(腸管バリア細胞)を活性化することが観察されました。納豆菌は腸内にいつもいる常在菌ではないため、上皮細胞に送るシグナルが強く、腸上皮細胞活性化の度合いが強いと思われます。また、樹状細胞(免疫細胞)が細胞内に納豆菌をとりこんで(貪食作用)免疫応答機能を高めていること、その結果Th1細胞(免疫細胞)を増強するというデータも得られつつあります。免疫の活性化に重要な臓器である、「小腸」ではたらくかについても研究が進んでいます。

納豆菌の特長

妊娠中に毎日納豆を摂取していた母親から生まれた赤ちゃんには、生後6か月でのアトピー性皮膚炎が約3.5倍少ない

納豆菌が免疫機能を高めるメカニズムが
解明されつつある(報告書から)

平成27年度助成研究報告書
(公益財団法人タカノ農芸化学研究助成財団)
納豆菌による樹状細胞の活性化と免疫制御機能の解明

・樹状細胞(免疫細胞)の機能UP
・Th1細胞(免疫細胞)を増強
・腸上皮細胞(腸管バリア細胞)を活性化

辻 典子 先生

辻 典子 先生

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門
上級主任研究員 免疫恒常性研究特別チームリーダー(農学博士)

納豆菌以外にもある免疫作用成分

納豆には、納豆菌のほかにも免疫機能を向上させる成分が含まれています。それは、粘着成分である多糖の一種「レバン」とアミノ酸重合体の「ポリグルタミン酸」です(倉敷芸術科学大学 須見洋行 名誉教授)。納豆を 食べることで、免疫増強作用のあるいくつもの食品成分を一度に摂取できるのです。

納豆のネバネバ成分にも免疫賦活作用 !?

納豆を食べることで、免疫作用のある「納豆菌」「レバン」「ポリグルタミン酸」を一度に摂ることができ、相乗効果の可能性も!

(参考:Lee TY et al. J Invest Dermatol. 2014 Mar;134(3):704-11. doi: 10.1038/jid.2013.389.など)

納豆イメージ

納豆菌が腸内で免疫細胞を
活性化するメカニズム

腸内環境とかかわりのあるパイエル板に、
免疫細胞の約7割が集合

免疫機能を司る総合指令所は、小腸の下部に約20~30個ある「パイエル板」という“腸管関連免疫器官”で、身体全体の免疫細胞の60~70%が集まっています。腸管免疫の中で「パイエル板」は最も重要な器官で、腸内に有害な異物が侵入してくると、「パイエル板」は異物の情報を集めて分析し、「T細胞」、「B細胞」などの免疫細胞に、異物への攻撃・排除を命令します。そして、命令を受けた免疫細胞は、異物への攻撃を開始します。これらの免疫機能が24時間休む事なく監視してくれる事で、私達の健康は守られているのです。
「パイエル板」の機能は腸内環境と関わっているので、「パイエル板」がいつでも元気に働けるように、私達は意識してよりよい腸内環境を作っていきましょう。

納豆菌がT細胞の免疫力を増強

図は腸内免疫系メカニズムのイメージです。健康な腸のヒダには絨毛(じゅうもう)がびっしりと生えていて、1000兆個もの腸内細菌が隙間なく住んでいます。絨毛がなく、ドーム状になっている場所が「M細胞」と呼ばれる特殊な機能を持つ細胞の存在する部分であり、その下に「パイエル板」と呼ばれる免疫器官があります。腸内に細菌やウイルスが入ってくると、「M細胞」はそれらを取り込み、取り込んだ抗原(異物)を「樹状細胞(パトロールしている免疫細胞)」や「マクロファージ」に捕捉させ、異物を提示させます(これを「抗原提示細胞」と呼びます)。
「抗原提示細胞」は「T細胞(免疫細胞)」に指令を出すと、「T細胞」は活性化して「B細胞(免疫細胞)」に増殖を促します。すると、「B細胞」は“抗体(IgA:免疫グロブリンA)”を作り出す細胞になり、“IgA”を分泌して、抗原(異物)を無毒化・排除します。この過程で「納豆菌」が小腸内で「T細胞」の免疫力を増強させる、つまり感染防御に作用していることが解明されつつあります。

納豆菌が腸内で免疫細胞を活性化するメカニズム

納豆菌がパイエル板の中に取り込まれている様子:蛍光物質で標識した納豆菌(緑色の点)。マウスに経口投与した30分後の観察画像。M細胞から納豆菌体が取り込まれ、一部はパイエル板内部まで侵入していることが確認された。

「納豆菌」「納豆」を摂食することで、
腸内フローラだけでなく、
口腔内フローラにも変化

マウスに「納豆」や「納豆菌」を与えて、4週目、8週目の糞便中の細菌叢、唾液中の細菌叢を解析しました。

実験の結果、「納豆」や「納豆菌」を摂取したマウスは、非摂取のマウスではみられなかった腸内でラクトバシルス目 (乳酸を産生する細菌)が増加していることが確認できました。また、腸内フローラだけでなく、後述のように口腔内の細菌叢にも変化が確認されました。

ラクトバシルス目

乳酸を産生する細菌の総称。腸管内等に常在することで他の微生物と共生し、腸内環境の恒常性維持に関わる。

マウスの腸内フローラの変化
ラクトバシルス目

マウスの腸内フローラの変化 ラクトバシルス目

「納豆菌」「納豆」を摂食することで、
歯周病原性細菌を減らす可能性

唾液中の菌叢解析結果の中で、歯周病原性細菌が含まれる細菌①(重度の歯周病に影響を与えると言われるジンジバリス菌を含む)と細菌②(①と同様に歯周病に影響を与えるプレボテラ菌を含む)の減少が確認されました。この実験結果より、納豆や納豆菌には、腸内フローラだけでなく、口腔内フローラにも影響を及ぼすことが示唆されました。

マウスの口腔内フローラの変化
口腔内細菌①(歯周病を引き起こす)

口腔内細菌① : Porphyromonadaceae科

マウスの口腔内フローラの変化
口腔内細菌②(重度の歯周病を引き起こす)

口腔内細菌② : Prevotellaceae科

マウスに対する投与実験の概要

対象マウス(雌)
試験食「S-903 納豆菌」でつくった納豆、「S-903 納豆菌」
試験方法8週間マウスに試験食を経口投与した。非投与には生理食塩水を経口投与。4週目、8週目の腸内フローラ(糞便中)、口腔内フローラ(唾液中)を解析。

歯周疾患と全身疾患の関わり

歯周病が全身疾患や全身の状態に影響を及ぼすことが明らかになり、全身の健康を守るためにも口の健康が重要であることが認識されるようになりました。歯周病原性細菌によって歯ぐきに炎症が起き、歯周ポケットとよばれる溝から細菌由来の病原因子などが血管に入ることで全身の臓器に影響を与えると考えられます。 ・冠状動脈性疾患・糖尿病・誤嚥性肺炎・低体重児の早期出産・関節リウマチ