女性にうれしい成分
女性にうれしい納豆の健康成分と発酵効果
コラム
発酵大豆の「イソフラボン」は
女性のスーパー守護神!
「大豆イソフラボンアグリコン」は
「イソフラボン」の進化形!
発酵過程で分解された「大豆イソフラボンアグリコン」は、発酵段階で糖が分離されているため、身体への吸収がよいことがわかっています。逆に、発酵前の大豆食品中に含まれる「イソフラボン」は、糖がついているため身体に吸収されにくいといえます。発酵のチカラで生まれた「大豆イソフラボンアグリコン」は、女性ホルモン(エストロゲン)の分子構造に似ているため、エストロゲン受容体と結びつきやすく、エストロゲンに近い働きをすることが大きな特徴です。つまり、「美肌(シワ・ハリ・しみなど皮膚の老化防止)」「月経随伴症状の軽減」「更年期症状の緩和」「骨粗しょう症の予防」「体脂肪改善」などの効果があるのです。
納豆の優位性とは?
「大豆イソフラボンアグリコン」は、味噌や醤油の方に多く含まれるようで、納豆の場合、納豆菌の種類など発酵のチカラの違いにより増減があるといわれています。しかし、味噌や醤油は調味料で、摂取が多いと塩分過剰になりますが、納豆は副菜や主菜の一部となり、「たんぱく質」、「ビタミンKやE、葉酸」、「カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル(これらも発酵により吸収率がアップ)」、「食物繊維」なども含まれているので、イソフラボンによる女性ホルモンに似た効果があることはもちろん、その他の健康成分のバランスがとてもとれている食品といえます。
- 上原 万里子 教授
- 東京農業大学 応用生物科学部
食品安全健康学科
イソフラボンの機能性に詳しい。
「イソフラボンがより効果を上げるには、腸内環境が整うことが重要」
- 1988年
東京農業大学大学院 農学研究科 博士後期課程 修了(農学博士) - 1997年
同大学 農学部 栄養学科助手・講師を経て1998年 同助教授 - 1998年9月~1999年3月
ヘルシンキ大学医学部 博士研究員 - 1999年4月
東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 准教授 - 2008年 同教授
- 2014年
東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科 教授
研究が進む「イソフラボン」の可能性!
「サクシニル体イソフラボン」とは?
納豆には、納豆菌による発酵特有に生じると考えられる成分があり、「サクシニル体イソフラボン」といわれています。これが増えることにより「グリコシド型イソフラボン」が減り、納豆菌の種類によっては、「サクシニル体イソフラボン」から「大豆イソフラボンアグリコン」に変化する可能性が指摘されています。
「サクシニル体イソフラボン」には、骨粗しょう症モデル動物の骨量減少抑制作用があり、イソフラボンが持っている女性ホルモンに似た働きを同様に備えているようです。発酵食品のイソフラボンは、今後の可能性が一層期待される健康成分なのです。
「女性ホルモンに
似た働きをするイソフラボン」、
1食分の含有量では「納豆」がトップ!
イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをすることで広く知られており、植物エストロゲンと呼ばれています。ただ、実際にエストロゲンのように作用するのは、イソフラボンから糖が分離した分子構造のものです。通常、食品中に存在するイソフラボンは糖がついた構造をしており、食べた後に腸内細菌によって糖が切り離されます。しかし、大豆発酵食品は、発酵のチカラで糖が外されるので、「女性ホルモンに似た働きをするイソフラボン(大豆イソフラボンアグリコン)」に変化した状態で食品に含まれています。そのために吸収効率が高いのです。
大豆原料の加工食品に含まれるイソフラボンを、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンに換算してその量を比較してみると、100g中の平均含有量がきな粉の次に多いのが納豆です。1食で食べる分として考えると、納豆が最も多く含有しています(図表8)。
(図表8) 女性ホルモンに似た
働きをするイソフラボン含有量
女性ホルモンに似た働きのイソフラボン
(大豆イソフラボンアグリコン)で比較!
イソフラボンから
大豆イソフラボンアグリコンへの換算方法
イソフラボンから、大豆イソフラボンアグリコンに換算する場合、両者の分子量の比から求めます。個々の食品に含まれる3種類の大豆イソフラボンアグリコンの量は分析しなければわからないため、3種類ある大豆イソフラボンアグリコン(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシチン)の中で、エストロゲン活性が一番高いゲニステインの換算値(約0.625)を用いて換算。
(例)大豆イソフラボン配糖体10mg×0.625=大豆イソフラボンアグリコンとして6.25mg
女性ホルモンは、すべての女性の
”カラダ全体”に影響!
一生を通して女性の健康や美しさに大きく関わる女性ホルモン(エストロゲン) 。分泌量の急激な変化がさまざまな不調を引き起こすので、変動を極力小さくすることが重要です。しかし、エストロゲンの分泌は過度なダイエットやストレスのせいで大きく変わります。また、40代後半頃からの更年期に急激に減りますが、これは自然の摂理で止めることはできません。カラダのために、減少をいかに“緩やかにする”かが大切です。
女性ホルモン(エストロゲン)の影響
- 女性らしいカラダを作る
- 妊娠・出産
- お肌のアンチエイジング作用
- 抗酸化
- 血圧やコレステロール値の調整→生活習慣病の予防
- 骨を丈夫に維持
- 自律神経のバランスを保つ
- ほてり、動悸、めまいや耳鳴りといった更年期症状の緩和
- 他
皮膚の抗老化作用で“美肌” 効果を発揮!
女性ホルモン(エスロトゲン)の働きの1つに、美肌効果があります。肌のハリと弾力のもとになるコラーゲンとヒアルロン酸を、エストロゲンが維持しているのです。納豆を摂ることで肌の弾力やシワに改善が見られたという研究結果などもありますが、それはエストロゲンに似た働きをするイソフラボン(大豆イソフラボンアグリコン)の作用によるものと考えられます。
納豆をよく食べる人には月経痛が少ない
納豆の摂取が、月経中の不調に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、研究が行われました。納豆の摂取頻度と月経痛等の症状の調査です。
その結果を見ると、納豆の摂取頻度が多い群(週2回以上)は、摂取が少ない群(週1回以下)と比べて月経痛がある割合が少ないことがわかります(図表9)。
月経痛の理由の1つとして考えられているのが、ホルモンのアンバランスによって子宮内膜が完全に成熟しきれないうちにはがされるということです。納豆摂取頻度の少ない群に月経痛が多く見られることから、女性ホルモンのように働くイソフラボンが子宮内膜の成熟に寄与していることが推測されています。
(図表9) 納豆摂取頻度と月経痛の有無
調査内容
調査対象 | スポーツ系大学の女子学生79人、 文化系大学の女子学生57人 |
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調査方法 | アンケート調査 |
健康状態や月経状態、月経前・期間中の体調の良否は、対象群別や食事のバランス度とも関連している。そこで、納豆摂取頻度がこれらの要因(対象群別、食事バランス度)を取り除いた場合の単独での関連をみるために、納豆摂取頻度と対象群別、食事バランス度の3要因を独立変数として重回帰分析を行った。