みなさんは、大人風邪を引き起こすライノウイルスを知っていますか。
ライノウイルスは、冬以外の季節に流行し1年中感染の恐れがあるウイルスです。その主な症状は、頭痛、のどの痛み、鼻づまり、くしゃみなどで、少し遅れて軽い咳が出始め、それが2週間という長きに渡って続くこともあります。
実は、このライノウイルスは大人のかかる風邪の30~50%を引き起こしていることがわかっています。発熱がないために、甘くみていると、ずるずると長引くやっかいな症状を招いてしまうのです。
さらにやっかいなところは、ライノウイルスは百種類以上あるとされていて、ライノウイルスによる感染をすべて防ぐワクチンを作ることは不可能だと言われていることです。要するに、ライノウイルスに特効薬(予防できるワクチン)がないため、起きてしまった症状を和らげる対症療法で治療するしかありません。そうなると、対策としては普段から休養をしっかりとりつつ、免疫力を高めるための栄養を十分に摂る食生活を心がけることこそが大切になります。
この免疫力アップに効果が期待できるもののひとつに「発酵食品」があります。昔から食されてきて、私たちのまわりに多くあり、体調ケアにも、おすすめの食材です。そのうち、「納豆」は、腸内環境を改善し、免疫力をより高める有力な食材として特に期待されていて、中でも「S-903 納豆菌」は、大人風邪(ライノウイルス)に対する予防効果が確認できています。
実験結果を見てみますと、「S-903 納豆菌でつくられた納豆」および「S-903 納豆菌」を摂ったマウスは、摂っていない(水だけ摂った)マウスに比べて、ライノウイルスの毒性・感染力を減少させたり、消したりする力を示す中和抗体の量が多くなっていることがはっきりわかります。「S-903 納豆菌」にはライノウイルスの予防や症状軽減に効果があることが出ているのです。
このように、予防効果が期待できる実験結果もでていますので、免疫に対する機能性が一般的な納豆菌の1.5倍あるという納豆菌を使った納豆など、こういった食材もうまく摂り入れながら、できるだけ栄養バランスのとれた食生活を心がけることで、免疫力を高めて、ダラダラと長引きがちな大人風邪(ライノウイルス)を予防していきましょう。
ライノウイルスに感染させる7日前からマウスに、「S-903 納豆菌」でつくられた納豆あるいは「S-903 納豆菌」を与え、12週にわたって血液中の中和抗体(※)の値を測定
(※)中和抗体は、ライノウイルスの毒性・感染力などの活性を減退あるいは消失させる抗体で、値が高いほど抗ライノウイルス効果が高く、ライノウイルス量を減少させることができる
中部大学 林京子先生・タカノフーズ(株)共同研究調べ
- 林 京子先生
- 中部大学大学院 工学研究科 客員教授、薬学博士
1976年3月京都大学薬学研究科博士課程修了。富山大学大学院医学薬学研究部の講師を経て2017年4月から現職。主な研究内容は、植物由来の天然成分や合成化学物質のウイルス増殖阻害作用の解明による抗ウイルス薬の開発、生体の感染防御機能に着目したウイルス感染症対策の検討、など。
※肩書は取材当時のものです